人の子よ、ほしい物リストを恐れよ

 

 俺はこのブログの端っこ、PCレイアウトでしか見つからないようなところにほしい物リストを載せている。

 

届いたらびっくりだよねって

 

 なぜ端っこなのか。俺は自分の文章が対価をもらえるようなクオリティだという自信は無いし、自分の人生が何かを恵んでもらえる歩みだともちっとも思っていない。そういう卑屈さ由来のものも、多少はある。

 それ以上に、俺は物心ついた時から、何が欲しいというのを主張するのが苦手だった。ダメだと言われたら悲しいし、「これが欲しい」なら、この子はこういう子なんだ、と推し量られるのが怖かった。俺の両親はそんな息子に困らされ、毎年クリスマスには不要な読み合いが発生していた。*1

 ほしい物リストは文字通り「欲望」を陳列する場所である。物欲の発露に癖がついた*2俺は、ほしい物リストを作ることさえ難儀する。

 だから俺のほしい物リストの大体は、ほしい物というより「必要な物」で構成されている。そして残りの大体は、「くれいんの干し芋これ入っててワロタw」と言ってもらえるようなオタク・アイテム。そしてリマインダー代わりに、少々の本。本当に必要な物は自前や研究費で買ってしまうので、趣味以上勉強以下くらいのもの。以上。そんなリストを、わざわざ見つけようとしなければ見つからないところにそっと置いている。

 そもそも、そんな人間がリストを作って置くこと自体、かなり迂遠で矛盾した行為だ。これが成立しているのは、俺に物を送る(からほしい物リストを教えろ!)と宣言してくれる友人たちがいるからである。

 今日は、そんな方々へのまとまったお礼を兼ねて、今まで送ってもらったものについて書かせてもらいたい。

 

 

江崎グリコ GABA ギャバ(ミルクチョコレート)

 事務作業のストレス軽減を謳うチョコレート。ゲーム上達が苦しい時期や、研究のデータ整備期間に食べたことがあった。正直当時実感できるような効果があったかはわからんのだが、多分あったかな……?という感じでほしい物リストに入れていた。

 それが、アイドルマスターシャイニーカラーズというゲームの、プロデューサーズカップという10日間×18時間の拘束時間を要求されるイベントを、俺が爆走している間に届いた。

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10袋!

 物とシチュエーションが完璧にマッチしている、最高の差し入れである。1日5時間程度しか休めない日々が続く中、ありがたいことこの上なかったのだが…………ほしい物リストの曲者、贈り主からのメッセージで、「プラチナ称号おめでとうございます!」と言われてしまった。

 プラチナ称号というのは先に述べたイベントのキャラ別上位10人、当時の全アイドルが23名なので、ざっくり言えばゲーム内上位のべ230人だけが入手可能な称号のことだ。それを、イベント中に差し入れと共に祝われてしまった。これが意味するのは勿論、「物くれてやったんだから、わかってるよな?」という圧である。

 ……結局俺は樋口円香さん*3のランキングで7位に入り、約束を果たしたあと泥のように眠った。チョコレートは期間中に食べきれなかったが、秋の大事な10日間をシャニマスに捧げた結果、卒業論文の進捗に追われることとなり、その後も出番は多かった。色々と、苦い思い出も多い一品である。

 

 余談だが、イベント完走後steamのギフトが届いた。この記事の趣旨とはズレるが、イベントを走ったことで頂いた二つ目の差し入れである。

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 …………俺は2時間遊んだ後、昼から布団に潜り込み3時間寝込んだ。

 

 

UHAグミサプリ 亜鉛&マカ コーラ味 & サントリー ウイスキー 角瓶

 俺は高校時代から原因が外傷性、治らないのが心因性、半々の勃起不全を患っており、自虐を込めて亜鉛のグミをリストに突っ込んでいた。

 そして中高、その後も交友のある友人から、誕生日プレゼントとして角瓶と一緒に送られてきた。彼はめちゃくちゃ良いやつなので、どちらかというと酒を送るのがメインで、仕方なくリストで一番安いグミを選んでくれたのかなと想像する。ウイスキーは主にジンジャーエールで割って飲んだ。

 そしてグミについて……心因性というのは要するに「インポの方が面白いから治らなくていいんじゃねw」という俺の童貞根性のことであり、要は自分の性機能とちゃんと向き合っていないという事だ。何が言いたいか。俺はインポ治療と精力増強を「男性機能の向上」という点で同じものだと勘違いしていた。

 そもそも硬くならないのに、量だけ増えても意味がない。そういうことである。大きな学びであった。

 

 

ロート製薬 デオコ 薬用デオドラント ボディクレンズ

 一時期、「女子高生の香りになる」ということで話題になっていたボディーソープ。とうとうネタ要員が届きはじめてしまった。

 子細は概ねツイートとツリーにクソマジメに記載した通りである。そこに書いていない類の感想として、俺の体以上に風呂場が「女子高生」に支配される。鼻炎持ちであまり鼻の利かない俺ですらそう思うのだから、多分普通の人からしたら相当だろう。

 そして俺は実家住まいだ。父は、母は、現役JKの妹は、俺が使った後の風呂場の香りに何を感じているのだろうか。とてもじゃないが、怖くて聞けない。

 

 

アレ

終わった。

 

 これは冒頭で述べた「くれいんの干し芋これ入っててワロタw」枠であり、それが送られてくるというのは、完全なるマジレスである。

 しかしこれは卑屈で迂遠な俺への天罰と言ってもよい。ほしい物リストに物を並べることを甘く見ていた。それが冗談であろうと、リストに置いたものは、俺はこれがほしいのだ!とインターネットに表明したことになる。インターネットに建前は存在しないはずなのだ。誰も、Googleの検索欄に対して嘘をつかないように。

 かつてサッカーボールやグローブを送っても喜ばなかった息子が、メイド服を着て自撮りしているのを知ったら両親はどう思うだろうか。違う種類の誤解が生まれてしまう。俺はそういう性志向なわけではなく、ただガキの頃からインドア派だっただけなんだ。今こんな格好をしているのは……ただの事故だ。信じてくれ。欲望から自分を推し量られることを恐れた結果が、最悪の誤解だとは、何たる皮肉。

 出来るなら、今すぐ幼少期の俺へメッセージを送ってやりたい。お前はこのままだと、大人になってもほしい物をちゃんとほしいと言えないままだ。その結果、全世界にメイド服姿を晒すことになる。父親にちゃんと、ゲームボーイアドバンスがほしいと伝えること。わかったな?

 

 

 

 

(今後も何かお恵み頂けましたら、使用した感想とお礼、ブログ記事を約束します)

 

 

 

*1:読者に夢見る少年少女がいたら申し訳ないが、サンタクロースの正体は君たちの親御さん、あるいはそれに準ずる保護者の方だ

*2:音ゲーオタクの言葉で、単なる苦手やジンクス的な失敗を意味する

*3:樋口さんはなんと本日10月27日が誕生日!